左岸達はブルース

新宿にはいろんなものが流れているな。ゴミみたいな空気は停滞してるし、デリバリーのあんちゃんは爆速で人をかわしていく。マジな口論、偽物のやさしさ、なんでもかんでもむき出しに感じるのがこの街が魅力だ。

筆者はこの街でチャリを漕ぐ。お気に入りのラーメン屋に行くくらいか。帰り道、食ったものへの負荷を意識して力強くペダルを踏んでみたりする。

余裕のないタクシーはこの街じゃ余計にストレスが溜まるだろうな。客も多いがその数に台数が見合ってない。普段は別世界の速度で存在しているし関わる事はほとんどない。だけど同じ道路を使っている以上、そうも言ってられない事態に遭遇することがある。

こちらの満腹感を打ち消すように、追い越し様に急停車する。お客様ファーストのずいぶん荒っぽい公共交通機関だ。電車のように道から外れない実直さを期待して止まないが、金(カネ)が左岸に落ちてるんだからある意味仕方ない。人の欲深さか本能か、この街がそうさせてるのか。

既(すんで)の所で停止した空気。タクシー・チャリ・客を含めた三者は数秒の間、重たいトレベレーターが再び動き出すタイミングを見計っているようだ。ぶつかっていないという理由で、タクシーからアクションを起こしてくることはまず無い。謝るくらいなら出ない方がマシなのか、口論を誘発しない為なのか。筆者にわかるのは、何か噛み合ってなくて、それでいて向ける場所の無い虚しさがある事だけ。

それを責めるつもりもない。おそらく話し合っても変わらないんだろう、生活もかかっているし。だから、ことの重大さに気付いて貰うために、敢えてここはとり残されてるもう一方の当事者である客に話を聞いてもらうことにする。状況を誘発した一端は十分に認識しているから、間違いなく耳はこちらにも向いている。

[チャリ]
今の状況わかりますよね?10m下がって別のタクシー捕まえて頂けませんか?

[客]
あ、すぃ…(ません辺りからは聞こえない) ##軽く頷きながら

タクシーから客を剥がしてみることにする。自分とこのタクシーとで話す機会が必要というくらいの冷静さは伝わっただろうか。こちらも巻き込みたくないし、客も巻き込まれたくないだろう、といった具合だ。幸いこの街では回転寿司のようにタクシーがぐるぐる回ってるし目の前でスッと停まってくれるんだから、店内で皿を拾うよりも簡単だ。よほど身体が弱そうな客に出くわしたら訴えることを諦めて、そそくさと元いた日常に戻ることにする。

世知辛い話だけど、これは何度でも繰り返す。理由はどんなに荒くても、事態が起こってから数秒間だけやり過ごせば、何も無かったように客を迎え入れられるから。これが最もな『何も変わらない原因』に他ならない。ならば客をテコにして、危ない運転をしたら結局客が逃げていってしまったという構図を相応にするべきと思う。客を取れなければ金は手に入らない。

僕の満腹感を返せとは言わない。ただ、新宿の街にブツクサ呟いてる柔和な日常を邪魔しないで欲しかったな。後ろにチャリがいたら、お先にどうぞの精神でお願いしたい。

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GOOMAND 自転車ベル 電子ホーン 大音量 防犯 自転車用 鈴 警音器120dB 自転車安全警告

[別記] 話すのが苦手な人もいる。警笛を気づかせたいけどチリンチリンじゃ優しすぎる。そもそも密閉された車内には聞こえないかもしれない。そんな時はこのホーンがクラクション代わりになる。まさに大音量が正義だ。この圧倒的な音圧が人の心に訴えかける。筆者が実際に使ってみたのがこのタイプ。

のり

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