テレビカメラが清々しいゴールラインを映してる。沿道の観衆に迎えられながら彼が戻ってきた。ハッキリと感じたのは讃える歓声と拍手の大きさ。当の本人はいったい何を感じていただろう。
久々にワクワクしたレースを見たのはいつぶり? ふと思い返すと、マラソンでこんな気持ちになった事は、もしかして無いんじゃないかと改めて感じた。筆者の心の有様は一瞬でピークまで高揚して、そして今でも余韻が残ってる。なんとも不思議な感覚だ。これがなんとかロスって言われるものなんじゃないかと思えるほどだ。
「バカになれ」「ネジが一つ二つ外れてるくらいが丁度良い」世間ではよく耳にする。弾けたり、超の発奮を促すような文句だ。そう成れるかって言われれば、口で言うほど簡単じゃない。ほとんどの人が概念ではわかってるけど、実際にその境界線を感じることは無いし、超えることも無い。
相手はライバルか自分か「やらなきゃやられる」
スーパーアスリート達は、99%だと負ける、101%だと壊れる、こんな世界で戦っている。研ぎ澄まされたラインは常に100だ。設楽選手の覚悟もこのライン上にあったと思う。そう信じた上での走りだったと思うし、観衆もそれを十分に感じたはずだ。
正解かどうか語ることは到底できない。だけど徐々に昇華していくんだろう。勝者も敗者も存在する世界で常に戦っているのだから。
なぜだか、また元気にスタートから飛び出す姿を期待してしまう。想像するだけでワクワクする。願いともとれるそんな気を抱かせるアスリートはなかなかいない、そう思った人も少なくないんじゃないだろうか。一息ついたら、また全快で走るって言ってくれ。淡々と1億円の看板を突き破る姿が目に浮かぶ。